2019年09月02日、国土交通省は、2020年夏ダイヤ(2020年03月28日~)からの羽田空港国際線発着増便枠50便の詳細を決定しました。
さて、JALの新規就航路線はあるのか?それについて考察してみました。
トータル50便の内訳
今回増便される枠は全部で50枠です。
これは、東京都心の上空を通過する航路を米軍、東京都、国土交通省などが認めたことで、滑走路の運用方法を変えることが出来、生まれた枠です。
相手国と日本で対等に割り振られることになっているので、海外25枠、日本25枠ということになっています。
既に、アメリカ12枠/日本12枠は決定していました。
これは米軍が管理していた空域を利用させてもらうこととの駆け引きに使われたことでしょう。
アメリカ側の詳細な割り当ても既に決定しています。
それについては、こちらで。
今回決定したのはアメリカで決定していた24枠以外の26枠です。
海外航空会社 | 増枠 | 日本増枠 | うちJAL増枠 | うちANA増枠 | 総合計増枠 |
---|---|---|---|---|---|
アメリカ | 12 | 12 | 6 | 6 | 24 |
中国 | 4 | 4 | 2 | 2 | 8 |
インド | 1 | 1 | 0.5 | 0.5 | 2 |
ロシア | 2 | 2 | 1 | 1 | 4 |
オーストラリア | 2 | 2 | 1 | 1 | 4 |
スカンジナビア | 1 | 1 | 0 | 1 | 2 |
フィンランド | 1 | 1 | 1 | 0 | 2 |
トルコ | 1 | 1 | 0 | 1 | 2 |
イタリア | 1 | 1 | 0 | 1 | 2 |
合計 | 25 | 25 | 11.5 | 13.5 | 50 |
中国に手厚いのは利用者の絶対数の多さから来ているでしょう。
それ以外で言うと、欧州路線が多いです。
これは、
日本側の希望というよりも、欧州の航空会社からの羽田乗り入れの希望が強かったためだと思われます。
海外航空会社枠を利用するのはどこ?
さて、この決定は国の決定であって、航空会社を特定はしていません。
そこで、この増枠を利用して、どの航空会社が羽田空港へ飛来してくるのか、考えてみましょう。
1・中国4枠
中国の大手と呼ばれる中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空の1枠は確定。
残り1枠が上記の航空会社に複数枠渡されるのか、新興航空会社に渡されるのかが注目ポイントです。
羽田の深夜枠にて既に就航中の航空会社も多々ありますので、その実績から既存の航空会社へ貴重な枠が与えられる可能性も高いと思われます。
STARTREX社で5つ星評価を得ている海南航空(北京、天津行)の他、奥凱航空(天津行)、吉祥航空(上海行)、天津航空(天津行)、深セン航空(広州行)がそうです。
2・インド1枠
こちらはエアインディアで確定でしょう。
3・ロシア2枠
ここが少し面白いところです。
アエロフロートロシア航空で1枠は確定。
でも、ロシア枠はあと1枠あります。アエロフロートロシア航空に2枠与えられず、もう1枠は他の航空会社に与えられるとなると、候補筆頭はS7航空(今はシベリア航空)。
ただし、S7航空(今はシベリア航空)はロングホール用の機材を所有していないため、羽田~モスクワ路線の開設が実質できません。
となると、羽田~ウラジオストク線、ハバロフスク線など、極東地区と羽田がつながる路線が開設されることになるかもしれません。
そして、S7航空はワンワールド加盟航空会社で、JALとの共同運航もしているため、共同運航便として、JALの羽田~極東地区の便が生まれることも意味しています。
5・オーストラリア 2枠
ここも少し面白いところです。
カンタス航空で1枠は確定で、残り1枠あります。カンタス航空に2枠も充分に考えられるのですが、LCCと呼ばれるジェットスターにもその可能性はあると思います。
ジェットスターは成田での実績が高い。
いまでこそ、オーストラリア路線の需要は安定してきましたが、数年前まではカンタス航空が日本路線を撤退、撤退で、極細状態でした。
カンタス航空が撤退していた間、日~豪を繋いできたのは、ジェットスターですからね。
5・欧州路線 4枠
ここは以下で確定ですね。
- スカンジナビア航空1枠
- フィンエア1枠
- トルコ航空1枠
- アリタリア・イタリア航空1枠
他には、日本へフライトを飛ばせる機材を持つ航空会社が存在していません。
※実際にはイタリアには、AIR ITALYがあり、エアバスA330-200型機を保有していますが、日本就航への意向は一切語られてはいませんので、恐らくないでしょう。
この欧州4航空会社が決定し、漁夫の利ではないですが、恩恵を得られたがANAですね。
相手国へフライト枠を与えるということは、日本側の航空会社へも同国への枠が与えられるということです。
そこで、トルコ、イタリア、スカンジナビアへのフライトの枠が日本側にもありますよ、と言われても、
JALにはそこへ飛ばす準備は出来ないし、勝算も未知数でしょう。
スカンジナビア航空、トルコ航空と同じスターアライアンスに所属をしていること、
アリタリア・イタリア航空とは業務提携をしていること、
そのために目的地からの乗継ぎ需要も取り込めそうですし、相手国側でのセールスやプロモーションも比較的やりやすい。
そんなことからその路線はANAに不戦勝的に与えられたのだと思われます。
では、JALは?
破綻後、堅実な道を進んで来たJALにとっては、ここでもあまり冒険はしないと思われます。
アメリカ路線は非常に難しいので置いておきまして、
残りの5.5枠についてはどうなるでしょう。
確定度合いが強いものから。(個人的な可能性比率も交えて。)
1/羽田~ヘルシンキ(100%確定間違いなし)
2/羽田~モスクワ(100%確定間違いなし)
3/羽田~デリー(100%確定間違いなし)
4/羽田~シドニー(75%ぐらい)
5/羽田~上海(50%ぐらい)
6/羽田~広州(50%ぐらい)
フィンランド、ロシア、インドについては、他に競争相手となる都市が思い当たらないので、確定していると思います。
オーストラリアについては、カンタス航空とのスケジュール調整などを考えると、メルボルンも若干だけあり得るのと、ANAに対抗したパースも期待を込めて可能性を残しました。
中国についてはまったくわかりませんでした。
渡航者数から行けば、北京、上海となるのでしょうが、両都市ともに既に2便が就航していること、
そして中国南方航空や、中国東方航空と共同運航をしている便がたくさんあるので、それとの兼ね合いかなぁ~と思っています。
最後に
今回の羽田国際線枠増便を受けて、JALの新規就航路線が気になるところです。
しかしながら、
成田空港のスロット(発着枠)であれば、新規就航はいつでもできる状況だと思います。
まずは、成田路線で新規開設をしてみて、需要動向などをしっかりと掴めた時に、ドル箱の羽田へ移管する、というのが、得策ではないのかなと思っています。
JALがいきなり貴重な羽田枠で新規就航をするというのは、考えづらいかな、と思っています。
ANAのスカンジナビア、トルコ、イタリアについては、流れで止む無くという感じはしますが、しっかりと相手国側に提携航空会社が存在しているので、JALとは状況が違うのでは、ないでしょうかね。
さて、実際にはどうなることでしょう。
もう間もなく、路線開設のプレスリリースがされることでしょうね。
されたら、新規就航便の初フライトの座席争奪線が始まることでしょう!!
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